日々雑感

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2019年の振り返り① 香月泰男氏との出会い(山口の思い出)

今年であった画家の一人が、香月泰男

アートにも、他の様々な嗜みがそうであるように、色々な楽しみ方があると思います。

東京の大きな美術館で大展覧会の長蛇の列に並び、舶来物の有名な作品を見る。

それも勿論良いのですが、色々な土地のローカルな作家さん、作品に触れる、のもアート鑑賞の楽しみの一つです。

作家さん、作品、美術館、それぞれに語るに尽くせない物語があります。

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 私も仕事柄、若いころからそれなりに色々な土地に住む機会があり、その頃からふらっと美術館に立ち寄るってはローカルなアーティスト、画家さんと出会う機会がありました。

社会人となり、初めて赴任した新潟県上越市

彼の地は、かの有名な日本画家の小林古径故郷であり、古く小さなマイホーム(ただの社宅ですが)から歩いて10分くらいのところに、小林古径記念美術館がありました。

 

現在は施設改修のため閉館中であり、再オープンは、来年とのことです。

HPでも、作品のいくつかを見ることが出来ます。

小林古径記念美術館HP:https://www.city.joetsu.niigata.jp/site/kokei/kokei-in-public-01.html

 

前置きが長くなりましたが、最近任していた山口県で出会った画家が、香月泰男氏です。

彼は、1911年生まれ、山口県出身の画家であり、戦前から画家として活動します。

その後太平洋戦争に従軍、終戦後には約2年間のシベリア抑留を体験します。

その時の体験をもとに、シベリアシリーズと呼ばれる作品群を手掛けるようになります。

山口県立美術館は、多くの作品を所蔵しており、年間を通じた常設展の他、時たま開催される特別企画展においても、その作品に触れることが出来ます。

山口県立美術館HP:https://www.yma-web.jp/exhibition/collection/index.html#KAZUKI

作品は、シベリア抑留を題材にしているだけあって、暗朝色を基調とし、表現も主題も非常に重厚ではあります。

ただ、決して悲壮感や絶望感に満ちているだけではなく、どこか生きる力強さや希望を感じさせてくれるような気がします。

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※写真は、山口県立美術館HPより

 

彼の生まれ故郷は、県庁所在地山口市から車で1時間弱のところにある、長門市(三隈)というところです。

私もたまに家族と遊びに行っていましたが、自然が豊かで、海にもほど近く、とてものどかな場所です。

当地には、彼のアトリエも再現した、ゆかりの美術館があります。

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 香月泰男美術館:http://www.city.nagato.yamaguchi.jp/kazukiyasuo/

風景へのまなざし-ニューヨーク・ギリシャ編- 2019年9月29日~2020年1月13日

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※写真は、香月泰男記念美術館HPより

香月泰男といえば上記のシベリアシリーズが有名なのですが、それ以外にも様々な切り口から彼の作品を紹介しており、違った魅力を発見することが出来ます。

  

東京で目にすることはなかなかないと思われますが、またいつか再開したい、直に作品を堪能したい素晴らしい画家のひとりです。

いつかこちらでも多くの人の目に触れる機会があればと思います。