熊本市現代美術館へ
熊本市現代美術館
ドレス・コード?――着る人たちのゲーム 2019.12.8(日)~ 2020.2.23(日)
ファッションという切り口から現代アートについて考える展覧会でした。
今年の初美術館は、熊本市現代美術館です。
3が日を過ぎ、1月4日から早速の開館です。
本美術館は、熊本市の繁華街のちょうど中心部に位置し、立地も非常によく街に溶け込んだ美術館です。買い物等の際にもに立ち寄りやすい利便性は魅力。
今回は、ファッション特にドレスコードの変遷から社会の在り方をとらえる展覧会でした。
ファッションは、ドレスコード(「誰はどこで何を着るべきかというルール)を通じ、人々に対してある役割や生き方を強要します。
それは基本的には暗黙的なもので普段は意識されないのですが、こうして陳列し更に比較することで、その存在が非常に鮮明に、露わになります。
ここに、アートの一つの機能である「見えていないものを可視化すること」そして「(何故そうなのか、本当にそうなのか)意味を問うこと」があると思います。
特に興味深いことの一つが、常にファッションには主流があり、傍流(反主流?)があるということ。
現代の(特に若者の)ファッションは、多様化していく中で時に「不良」「反抗」のような形で否定的に捉えられることもありますが、実はそれは今日に限ったことではありません。
「傾奇者」という言葉があるように、昔から本流があれば、それに対して異議を唱えて独自性を主張するような反発の動きもあり、それらのせめぎ合いぶつかり合いが文化を形作ってきたのでしょう。
写真は撮れませんでしたが、展示の後半では身にまとう衣装を超えて、自身の体を使ったボディペイントや身体を用いた表現などが取り上げられ、現代は非常に価値観や生き方、その表現が多様化、個別化しているということも伺えました。
また、スピンオフ展覧会として下記が併設されています。
このようなスピンオフ展覧会は、管理人はあまり経験がありませんが、非常に興味深い試みであると思います。
アートの意味は何か、それには様々な意見があろうと思いますが、一つの機能として、上述のように既存、既成のものに対して「意味を問いかける」というものがあると思います。
メインの展覧会は、ファッションの変遷を通じて社会に対してその意味を問うものでした。それに対し、それを見た人々(我々)から、その問いかけを我が事としスピンオフとして更なる問いが発せられる、その結果次の作品や表現、その展示が生まれる。
そのサイクルはまさに美術(館)と市民(わたしたち)の、理想の姿でしょう。
その他、コレクション展示が行われています。
現役で活動されているアートコレクター、KAI TOKYOさんの所有作品を集めた、これまた興味深い展示。
https://www.camk.jp/asset/images/exhibition/g3-131/flyer.pdf
こちらは1月20日(月)まで。
アートを育てるのはアーティストだけでなく、それを観る私たちである、と感じさせられます。
難しいというイメージの強い現代アートにあって非常に美しく親しみの沸くコレクションで、現代アート好きの私の妻にも大好評でした。
私も引き続き、年間最低1作品の購入を目指して頑張りたいと思います。
館内には、草間彌生はじめ様々な現代アートの作家さんの作品が展示されています。
これらは、入館料を払わずに、フリーで鑑賞、写真撮影までできます。
写真撮影は不可となっており撮っていませんが、本館のエントランスから入ってすぐのところにはライブラリースペースもあり、寛ぎながらアートの書籍や過去の図録などをじっくり楽しむことができます。
これらの空間づくりは、私のような子育て世代には非常にありがたいです。
アートにちょっと興味はあるけどそこまでは…と敷居の高さを感じる方にも、気軽に立ち寄ってみてもらったり、待ち合わせ場所やちょっとした時間つぶしに使ってもらえるきっかけになるのではと思います。
こんな風にアートと一般の方々の接点が上手く増えればいいですね☆
以上です。
九州は個性的な美術館が多く非常に魅力的な土地です。
旅行等で訪れた際には、ぜひ美術館にも足を運んでみてください。