日々雑感

アート情報を中心に、発信しています。その他、旅のレポートやブックレビューなど。

今年のベスト展覧会 2019

今年も年の瀬ですが、個人的に今年印象に残った展覧会等を選んでみました。

皆さんは、今年1年間、どのようなアートシーンが印象に残りましたか?

f:id:stephanetanguero:20191229233346j:image

新聞や芸術誌など各媒体で今年のベスト展覧会が発表されました。毎年この時期は、様々なランキングが発表され、1年の振り返りと締めくくりが為されますね。

アートにおいても、今年1年を振り返ってみたいと思います。

 
オランジェリー美術館コレクション展
横浜美術館 2019年9月21日~2020年1月13日

f:id:stephanetanguero:20191229231242j:image

artexhibition.jp

 

コートールド美術館展 魅惑の印象派
東京都美術館(終了)
愛知県美術館 2020年1月3日~3月15日  神戸市立博物館巡回予定

f:id:stephanetanguero:20191229231256j:image

courtauld.jp

印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション展
三菱一号館美術館 2019年10月30日~2020年1月20日

f:id:stephanetanguero:20191229232201j:image

mimt.jp

 

以上3つは、印象派関連の展覧会です。

印象派は日本では人気が高く、企画展・コレクション展とも、充実したラインナップが定期的にみられると思いますが、特に今年は教育・研究機関としての美術館やパトロンの役割の大きさについて考えさせられる展覧会に出会えました。

 

印象派がまだ地位や支持を確立する以前から、その価値を見出し収集や啓発活動を積極的に行ったパトロン、そして美術館の存在がなければ、今日私たちがこのように印象派の作品を楽しむことは難しかったかもしれません。

 

彼らもまた、画家たちに負けず劣らず、新たな芸術を生み出すために闘った人たちである、といえるでしょう。

 

 

奇跡の芸術都市バルセロナ
姫路美術館(終了)

f:id:stephanetanguero:20191229231448j:image

 

www.city.himeji.lg.jp

 

 

香月泰男のシベリア・シリーズ展
山口県立美術館(終了)

 

www.yma-web.jp

 

 

ついで、地方の美術館へ。

今年は西日本から東日本へと異動する中で、地方の個性的な美術館に触れることが出来ました。

1つ目は、スペイン・カタルーニャ地方のバルセロナを取り上げた、興味深い展覧会。一都市の歴史を断面として、芸術と文化の発展について非常に深い洞察が得られる作品群でした。

本美術館も、コレクション展も非常に充実したものでした。

また、山口県立美術館は、シベリアシリーズを生んだ香月泰男氏の生まれ故郷であり、ほぼすべての作品を所蔵するという日本でも非常に貴重な存在です。

日常的に複数の作品がコレクション展示していますが、今年は企画展としてその全作品を一望することが出来ました。

 

瀬戸内国際芸術祭(終了)

f:id:stephanetanguero:20191229232220j:image

setouchi-artfest.jp

 

 

ベネッセアートサイト直島地中美術館など)

benesse-artsite.jp

 

 

今年は、地方での大型の芸術祭が相次いで開催された1年でもありました。

瀬戸内国際芸術祭はもはや説明不用でしょうが、管理人も今年初めて行くことが出来ました。

単なるインスタレーションアートを超えて、瀬戸内の島々という1個の世界との向き合い方を問いかけるような、深い問題意識を持った作品が多かったように感じます。

現代は地方の創生や復興がよく取り上げられる時代ですが、アートに何ができるのか、またそもそもアートとは何なのか、という真剣な問いと答えを感じることが出来ました。

直島などの瀬戸内地区では、ここでしか見られないであろう個性的な美術館にも多く出会うことが出来ます。

これらの美術館を訪れることが出来たのも、本芸術祭の大きな収穫の一つでした。

芸術祭閉幕後もこれらの施設は運営しています。なかなか直ぐに訪れるのは難しい場所にありますが、ぜひ少しでも多くの人たちがこの土地と作品に触れる経験を得てほしいと思います。

 

あいちトリエンナーレ(終了)

aichitriennale.jp

 

一時期、とある理由で騒がれた芸術祭。

足を運んでみると非常に落ち着いた雰囲気で、黙々と展示を行っている印象でした。

作品の良しあしや好き嫌いは別にして、芸術祭としては平穏な時が流れているような印象で、安心したというか、寧ろ肩透かしを食らった一幕でした。

百聞は一見に如かず、まずは自分の目でしっかりエビデンスを確かめる必要がある(勿論メディア情報を幅広く収集することも重要ですが)と感じます。

制作コーナーなど、子供や家族連れも楽しみやすく過ごせる工夫が随所に見られたのも非常に好印象でした。

 

 

来年の展覧会情報は、すでに出版物やインターネットで幅広く公開されていますね。

来年1年間をどのような年にするか、しばし今年を振り返りつつ心の備えをし、年を越していけたらと思います。

皆様も、よいお年を!