福岡アジア美術館へ
福岡に来たときは必ず訪れるこの美術館。
新年も、興味深いコレクション展が開催されていました。
博多駅から地下鉄ですぐ、中洲川端駅を降りてすぐのビルに、アジ美はあります。
ビルのエントランスを入ると、大きなイラストが。
こちらも、お名前は存じ上げないのですが、アジアの有名なアーティストさんの作品だそうで。
一生懸命引いたけど入りきりません。(^^ゞ
コレクション展 「あじび研究所」
2019年12月2日 (月) 〜 2020年3月17日 (火)
アジ美は、日常的にコレクション展示を行っており、その豊富な展示を垣間見ることが出来ます。
冒頭には、「あじび研究所」と称し、1個の作品の作者や背景をその国の歴史・文化と絡めて取り上げるコーナーがあります。
今回取り上げられているのは、
グエン・ファン・チン(ベトナム)藤を編む人
本作品は、ベトナムの伝統工芸である絹糸で描かれいるそうです。写真ではわかりにくいのですが、絹糸らしく繊細な色遣いとタッチが非常に印象的でした。
こちらはアジ美で私の好きな作品の1つ。
「教育による進歩」カルロス・フランシスコ(フィリピン)
アジアと西洋の出会いをテーマにした、非常にメッセージ性の強い作品。
この画家はマニラ市庁舎壁画等も手掛けており、国民的画家として人気を博し、この先品は、フィリピンの教科書出版社の壁画として描かれているそうです。
左下には古代の現地人が、右下には彼らとそれを諭そうとする宣教師が、左上には植民者の一団が、そして中央には独立運動を率いた国民的英雄であるサン・ホセと、伝統社会と近代、独立と発展をそれぞれ連想させるモチーフが散りばめられています。
予西洋・近代との出会い、教育や進歩は、果たして東洋の伝統社会にとって幸福であったのか、それとも悲劇であったのか。もちろんこれは単純に二元論として割り切れる問題ではないでしょう。
本作品はなにしろ教科書出版社のために描かれたものであり、基本的には「教育と進歩」を肯定的に(というか避けられないものとして?)捉えたものといえるでしょう。
そこには色々な物語があり、どちらの視点に立つかによって色々な見方ができる、そのようなことを考えさせられる作品です。
抽象画も、目を惹く作品が多々ありました。
こちらはバングラデッシュ出身のアーティストによる作品。
弱者としての女性・子供と、内戦を象徴するドラム缶を用いた、戦争と平和を問う作品
発展途上国や様々な地域では、その国の社会情勢や国際情勢が色濃く反映されるというある意味当たり前の事実を、強く感じさせられる作品です。
コレクション展に続き、企画展
LGBTQと多様性社会
2019年12月2日 (月) 〜 2020年3月17日 (火)
性的マイノリティや様々の家族、女性などの生きざまに光を当てる作品が取り上げられていました。
アートインレジデンスの企画
あじび レジデンスの部屋
自由に出入りの出来る館内にも、いくつもの作品が展示されています。
これも、アジ美の魅力の1つです。
アジ美も、カフェやライブラリースペースが充実しており、展覧会に入館しなくてもアートな時間を楽しむことが出来ます。
特にアジ美のテーマであるアジアの美術、現代アートにまつわる資料、書籍等の情報にも触れることが出来る貴重な空間です。
本美術館、展覧会のリンクは下記から
熊本市現代美術館、福岡アジア美術館と、年始は九州の個性的な美術館を訪れることが出来ました。
定期的に九州に行きたいと思わせてくれる、貴重な存在です。