作品「Still」ー 線と点について
12月、ずっと応援している作家さんの新作を買わせていただきました。
一つの作品とじっくり向き合う、のも鑑賞の醍醐味の一つです。
というわけで今年の年の瀬は、この作品をとことん眺めてみる。
作品は、墨、すなわち白と黒だけで構成された、非常にシンプルな世界。
そして、そのオブジェも、線と点。
書く(描く)という行為から、余計なものを徹底的にそぎ落としたある意味挑戦的な作品です。
この線と点をよく見てみると、非常に個性豊かで可愛らしさに溢れています。
白と黒にも非常に多彩な濃淡があり、特に絵の下部の淡い部分も、眺めていると色々なものに見えてくる。
もう少し視点を近づけて観察してみると、点を書く筆致がどれも微妙に異なっていることが伺えます。
その結果、点の中にも線があり、そして線もまた無数の点から出来ている様子が浮かび上がる。
遠くから見ればどれも似通って見えるのに、
名前で呼べば金太郎雨に聞こえるのに、
同じものはただの一つとしてない。
筆致一つで、描画の最小単位もこれだけ様々な表情を見せる。
最も単純に見える世界ですら、こんなにも多様で面白いんだと、この絵はやんわりと主張しているようにも見えます。
この作家さん(Kaida Satoruさん)は、数年来、書道アートというものを探求されています。
HPはこちら https://www.satorukaida.com/
墨だけの作品から、金泥や銀泥をつかった結構カラフルな作品まで、幅広く手掛けられています。
これからの発展、ご活躍が、益々楽しみです。