日々雑感

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そごう美術館ロベール・ドアノー展へ

そごう美術館 何必館コレクション ロベール・ドアノー
2020年2月1日(土)~3月15日(日)

 

写真もまた、絵画のように視覚芸術に分類されるでしょうが、絵画とはまた違う魅力があります。

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 私は、絵画ほどではありませんが、写真も好きで、たまにギャラリーや展覧会に足を運ぶことがあります。

敢えて美術館まで行かなくても、公共の施設や展示スペースで、プロのカメラマンの作品だけでなく一般公募の作品なども、見かけることはあるでしょう。

 

先週は、たまたま横浜に用事があり、横浜駅へ足を運びました。

神奈川県のハブステーションである横浜駅から、恐らく最も近いであろう美術館がここ。

日本でも有数の規模の百貨店型美術館 そごう美術館です。

www.sogo-seibu.jp

 

 

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フランスの国民的写真家 ロベール・ドアノー

この写真、多くの人が一度は見たことがあるのではないでしょうか?

実は私も、この展覧会に行くまで名前を存じ上げなかったのですが、彼はロベール・ドアノー、フランスでは非常に有名な、20世紀を代表する写真家であるそうです。

20世紀初頭のフランスに生まれ、工芸学校を卒業後、ルノーの向上や軍隊での勤務を経験し、第二次大戦中にはレジスタンス運動に従事します。

戦後はファッション写真、パリ市井の人々のスナップや芸術家のポートレートの撮影を続け、1984年には、フランスで最高位のレジオンドヌール勲章を受章するなど、写真家としての輝かしいキャリアを築きました。

 

 

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写真はここには載せることは出来ませんが、何気ないパリの街角や村の風景を切り取った写真には、どれもユーモアあり、喜怒哀楽あり、また一瞬のカットに人生を生きる人々のストーリーが垣間見えるものでした。

絵画と同じくらい(といってはそもそも写真に失礼かもしれませんが)、観察と解釈に堪えるものだなぁ、との印象を受けます。

ちなみに有名なこの写真、実は演劇学校に所属する恋人同士のモデルを用いて撮影されたものだそうです。今回パネル展示の解説でそのことを知り、驚きました。

非常にリアルで人々が流れていく背景と絶妙にマッチし、恐らくは自分の中でのフランス・パリの印象とも相まってか、実際の場面を捉えたものだとばかり思いこんでいました。

人間の持つバイアスの強さ、なのかもしれませんが、この写真がそれだけ再現性と撮影技量に優れていた、ともいえるのかもしれません。

 

アトリエ・ロベール・ドアノー

彼のアトリエはパリ郊外のモントレーにあり、2人の娘さんが今でも管理し、まだ公開されていないネガの管理や現像を行っているそうです。

今でもなんと45万点ものネガが保存されているとのこと。

これからも、この写真家は私たちの眼を楽しませてくれることでしょう。

本店では、京都現代美術館キュレーターの梶川由紀さんがアトリエを訪れ、娘さんお2人にインタビューを行う映像が上映されています。

展覧会のいちコーナーでは、ロベール・ドアノーが、写真だけでなく、家族をこよなく愛し大切にしていたことが窺える、心温まるインタビューになっています。

 

彼のアトリエについてはこちら

www.robert-doisneau.com

 
写真家とは、何をする人か?

冒頭述べたように、写真は視覚芸術である点で、絵画と共通点を持っています。

一方で、絵画と全く同じでもありません。

最も大きな違いは、絵画が画家の描きたいものを描いたり、描きたい方法で描くという表現性を有しているのに対し、写真は基本的にはモノのありのままの姿を映しとるという点でしょう。

写真に撮りての意思が反映されるとすれば、それはどのような場面を捉えて写し取るか、(或いは再現するか)ということにあるのではないでしょうか?

 画家は炙り出す人、写真家は切り取る人、ともいえるかもしれません。

 

勿論、写真家にも色々なスタンスのアーティストがあり、自分の取りたい、実際にはありえない場面や物事を完全に再現して作品とする人もいるかとは思います。

ドアノーは、先ほど紹介したようにモデルを用いて再現した写真も撮影していますが、この展覧会に展示された作品を見ても、多くは実際の場面を捉えてい

 ただしその被写体の選び方と一瞬の捉え方は絶妙であり、彼が本当に愛するものや伝えたいものを

そういう意味では、彼は、最も表現主義的な写実フォトグラファーといえるのかもしれません。 

 

 都会のオアシス

そごう横浜を離れ、駅の反対側の高島屋へ。

どこかゆっくりくつろげる場所はないかと屋上まで上がってみると、それまでのにぎやかなフロアからは想像しにくい、広々とした長閑な空が。

ジョイナスの森彫刻公園 です。

www.sotetsu-joinus.com

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 公園内には人物像の忠告作品やオブジェが多数。

公園の景観と上手く溶け込み、心地よい空間を醸し出していました。

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百貨店というと、ショッピングや食事が主な過ごし方で、文化的な活動はあまりなじみがないように感じます。

しかし探してみると、美術館や、催事場でのイベント、またアートを活用したブランディングや空間づくりなど、色々な視点から目と心を楽しむことが出来るサイトが

私のような妻子連れには、足を運ぶ口実と時間の近い方という点からも便利な存在です。

皆さんも、いつも訪れる駅ちか百貨店、色々と探してみてはいかがでしょうか。