日々雑感

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備忘 グエルチーノ展 国立西洋美術館

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アップするのをすっかり忘れてましたが、今週末までなんですね。

国立西洋美術館  グエルチーノ展

バロックはあまり観たことなくて知識もなかったのですが、素晴らしい作品たちでした。

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彼、グエルチーノは、イタリアはトスカーナ地方、チェントという都市で生涯を過ごした、同地を代表するバロック画家ということです。

チェントで生涯の大半を過ごし、この街の美術館や教会に多くの作品を残しています。

イタリア、チェントチェント - Wikipedia

素敵なところですね🎵
イタリアファンには堪りません😭

余談ですが、この街、地震学者が予測の成否を巡り裁判にかけられてしまった、数年前の大地震で大きな被害を受けています。

そもそもこの展覧会も、街の美術館が被害を受けて展示を継続出来なくなったために、作品の避難を兼ねて開催された、とのこと。

この画家に出会えた不幸中の幸いに、複雑な思いがします。
当然寄付がなされるようですが、チェントとその芸術が一刻も復興することを祈るばかりです。



さてさて、作品ですが。

作品の大きな主題はやはり、宗教と人、でしょうか。

バロック芸術ということで、普段よく観る見慣れた印象派や、鮮やかなルネサンスとも違った、強烈で重厚な感じが非常に印象的です。

このバロックというのは、中世ヨーロッパで見られた一つの様式であり、宗教改革の動きに対抗するためカトリック教会が主導した反宗教改革のための芸術です。そのため、見る人々の信仰心に訴えることが一大テーマであったようです。

こうしてみると確かに神や神に仕える聖職者達の出で立ちは荘厳で、また奇蹟の描写なども劇的です。

一方で、人々にはどこか憎めない人間らしさがあり、また人々の生活風俗が所々に垣間見えていました。
私がカトリック信者でないからそう思うのかもしれませんが、バロックの様式を守りつつ、そこには収まりきれない何かを描ききろうとする画家の、心意気を感じて嬉しくなります。



もう一つの見所は、作品の遍歴でしょうか。

彼は、先にも述べたようにチェントにおいて生涯の殆どを過ごしますが、短いながらもヴェネツィアフィレンツェやローマへの遊学を経験し、それが作風に強い影響を及ぼしています。

若かりし頃、暗く暗示的であった作風が、ルネサンス芸術の影響を受けてか色彩の幅、厚みを増していく。
また部分的であった光彩も、明るく作品全体を包み込むようになる。
そしてギラギラしている、鑑賞者を突き抜けるような人間の眼差しも、リアリティーは保ちつつも、どこか穏やかな達観を帯びていく。

絵画、そして人間と真摯に向き合った画家の魂の遍歴がそこにあるようでした。

当たり前ですが、まだまだ知らない画家が沢山いますね😅
体系的に、勉強する必要がありそうです。

お読み下さい、ありがとうございました❗️
m(_ _)m

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