日々雑感

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東京ステーションギャラリー 坂本一男 捲土重来展へ

 

東京ステーションギャラリー

坂本一男 捲土重来 展 

 キュビズムを巡る画家さんの探究と模索が伺える、充実の作品群でした。

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今週末に始まったこの展覧会。

作者は未聞のお名前でしたが、前回の展覧会閉会以来、ずっと気になっていました。

通勤途中に美術館があるというのは、実に有難いことです。(平日行く暇は殆どありませんが。。)

 

この画家は、第一次大戦後間も無くのフランスに渡り、最先端のキュービズムを学び、帰国後の日本でも制作を重ねました。

残念ながら戦後の日本では余り知られてはいなかったようです。

 

坂本一男は、太平洋戦争の時代も変わらず制作を続けたようです。

また戦後間際には、瀬戸内にあったアトリエが水害により冠水するという災難に見舞われますが、まるでそれを逆手に取るかのように、冠水した部分をモチーフに残した作品を作り上げます。

戦争や天変地異を経て、その苦難を連想させるようなモチーフをも抽象画の中に飲み込んでいくプロセスの力強さは、画家がそれまでに既に、具象の世界と真剣に向き合っていたことを

 

抽象的ということは、「抽象的でよく分からない」「抽象的過ぎる、もっと具体化しろ」等、よく否定的な文脈で使われます。

抽象画自体も、どちらかといえばよく分からない難しいもの、というイメージが強いものでしょう。

しかし、抽象的であるものを見抜いて描き出そうという行為こそ、物事の本質に迫ろうとする真摯な姿勢、或いは果敢な挑戦、なのかもしれません。

 

ついでに、東京ステーションギャラリーの紹介を。

● 東京駅内の遺構を館内に取り入れていて、歴史が一瞥できる施設になっています。

丸の内界隈では良く感じますが、油彩画の独特の香りとレンガ造り、そして木の床に響く足音の相性は、実に素晴らしいものです。

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●東京駅開講までの様々なストーリーも伺えて興味深いです。

また、これまで何度も訪れたことのある場所ですが、実は1980年代には出来ていた、とのことで、驚き。

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今年から来年にかけては、多くの外国からのお客さんがここを通ることが予想されます。

国内外問わず、少しでも多くの人に、この場所を知って楽しんでもらえたらなと、説に願います。